飲食業界が抱える労働問題
飲食業は,最も人の入れ替わりの激しい業種の1つです。衣食住は生きていく上で欠かすことはできませんが,とくに飲食業は,多くの雇用を生んでおり,社会的にみても必要不可欠の産業となっています。
他方で,労働人口の減少に伴い,とくに飲食業においては慢性的な人手不足の状態で,アルバイトの活用や外国人の採用を行うことで解消しようとする企業も多いものの,従業員の長時間労働はやはり顕著な問題となっています。また,従業員に対する監督がなかなか行き届かず,パワハラやセクハラなどのハラスメントも比較的起こりやすい環境だともいわれます。
残業代は不要?労務管理で対策できること
よくある問題として「管理監督者」の問題が挙げられます。労働基準法上「管理監督者」に該当する従業員に対しては,労働時間の規制や休日の規制がないと定められています。それで,とくに飲食チェーンの慣行として,チェーン店の店長は労働基準法上の「管理監督者」だとして,制限なく長時間労働をさせ,残業代を支払っていない,ということが行われていました。
ところが,業界大手チェーンに対してされた裁判では,そのチェーン店の店長は「管理監督者」ではないと判断されました。裁判例上,さまざまな飲食店の店長について,管理監督者だと認められるのは困難であり,現在も店長を管理監督者として扱い残業代を支払っていない企業は,場合によっては,体制を見直す必要があるのではないかと思われます。
この他,土日は忙しいが平日はそうでもない,ということもあると思います。そんな場合は,変形労働時間制を導入することで労働時間をより柔軟に調整することができるのですが,手続きをしていないために,多大な時間外労働をしていた扱いになってしまう,という問題も考えられます。
弁護士のできるサポート
当事務所では,飲食業のみなさまが安心して経営に専念することができるよう,労務問題に対応するプランを用意しております。労働時間の管理,ハラスメント対策,就業規則の改訂など,お悩みがあればまずは弁護士にご相談ください。